PLUS × ENEX
Development story of ALLSAUBER

二つの企業文化の相乗効果がもたらした
アルザウバー共同開発の成果

「オフィスに置きたくなる、美しいハンドクリーン」をコンセプトに、
プラス株式会社と当社の共同開発から生まれた「ALLSAUBER(アルザウバー)」。
洗練された空間にふさわしいデザイン性と、使うたび潤いを感じるスキンケア処方の両方を併せ持つ
新しい清浄・衛生商品の開発秘話をお届けします。

牛嶋 潤

プラス株式会社
ステーショナリーカンパニー 
R&D本部 部長

入社23年目。長年にわたった文具の開発に携わり、修正テープなどのロングセラー商品や、個人情報保護スタンプ「ケシポン」といったヒット商品の開発を手がける。

梅田 裕明

エネックス株式会社
取締役 
機能材料事業部長

入社9年目。東京を拠点に営業活動を主軸としながら、研究部署や製造部署の統括を担っている。

三浦 一郎

エネックス株式会社
機能材料事業部 
研究開発課 主席研究員

入社16年目。研究開発課に所属し、主席研究員として研究開発の全案件に携わる。本プロジェクトでは、プラス様の意気込みを感じ、自ら製品開発に乗り出した。

機能性と使い心地のどちらも
犠牲にしない
製品作りへのこだわり

今回の商品開発のきっかけについて
教えてください。

牛嶋:これまでエネックスさんには商品開発の業務委託をお願いしてきた経緯があります。「アルザウバー」については、2020年春から開発がスタートしたのですが、その背景には、コロナ禍で生活習慣が変わったことが挙げられます。生活のあらゆるところでアルコール製剤が不可欠となりました。プラスでは、洗練されたオフィス空間の提案もしており、文房具や家具を提案しているプラスが、こだわりをもってお仕事をされている方に向けた魅力的なアルコール製剤を提案しようというのが開発のきっかけです。開発には当社女性陣が多く関わり、プラスならではのこだわりが詰まっています。

梅田:牛嶋部長を始め、企画部門の女性陣からそのような開発のご要請をいただき、ありがちなものを作るのではなく、プラス様ならではのライフスタイル提案で華やかなデザインと素材へのこだわりに熱意を感じました。コロナ禍の生活習慣の変化で、肌の弱い方や出来るだけアルコールを使いたくない方がノンアルコールタイプをお求めになられるとの声もお聞きし、このプロジェクトはアルコールタイプとノンアルコールタイプの2つで製品開発をすることにしました。

実際開発されていく中で
一番苦労されたところは?

三浦:製剤の開発で苦労したのは性能面です。これまで化粧品原料の加工開発に長く携わってきましたが、化粧品そのものの開発経験はありませんでした。複数の材料を混ぜ合わせることで、薬剤の性能が落ちてしまうことがあり、その調整には多くの工夫が必要でした。プラス様は、多くの女性社員が活躍されるモデル的な企業と言われてますが、まさしくそのとおりで、試作段階で何度もプラス様の女性陣大勢に手触りや香りを評価してもらいました。コロナ禍でテレワークをしている企業が多い中、直接の打合せやWEB会議を通じたミーティングで遅延なく進められたことが関心できる一面でした。今回の開発は、毎週のように試作品をお持ちしましたね。

梅田:確かに、手触りや香りの試作パターンをたくさん組みました。プラス様のコンセプトは、「肌荒れしない、ベタつかない、使っていて楽しめる商品を」というものでしたから、単なる衛生用品を作るのではなく、衛生機能を持ち合わせた化粧品として捉えました。実際、プラス様の熱いご要望に応えていこうというのが開発で最も重視したポイントです。プラス様は成分の特徴や配合目的の細かなところまでこだわられたので、使い心地と機能性の両立が開発チームの苦労した部分です。特に、香りに関しては合成香料ではなく天然精油をご希望されたほどです。

牛嶋:実際はわがままを言わせいただいて、それに対して一つひとつ真摯に対応していただいたというのが本当のところです。スピーディーに商品化するだけなら、化粧品や薬品メーカーにお願いすることもできるのですが、今回は当社のこだわりに対して応えていけるところを重視したのです。多分専業メーカーにお願いしたら「これですよ」って出されたものをプラスの名前で売るだけで終わっていたと思います。エネックスさんは再生トナーのイメージが強いのですが、実は幅広く事業展開をされていて、多くの知見をお持ちになっているのが最大の魅力です。新しいことに対しても拒否反応がなく、フロンティア精神にあふれていて、本当にパートナーとしてベストの選択をしたと思っています。

“チャレンジスピリッツ”という
相通じる企業文化

約半年で製品化できた秘訣は?

梅田:半年間というのは確かに早く、通常の開発には必ず時間をかけなければいけない試験がいくつもあります。その試験を並行しながらも、期間中に出来る限りの開発工程を詰め込みました。先ほど毎週のように試作品をお持ちしたとお話しましたが、そうした試作品に対してのレスポンスがプラス様は非常に早かったことです。通常、試作をお渡ししても一週間寝かされたり、ひと月たった後に返事が返ってきたりといったケースも多いのですが、プラス様の場合はすぐにレスポンスがあり、ときには「もっと早く」と言われることもありました(笑)。お互いが協調して、より良いものをスピーディーに出そうという目標の中でやれたことが大きかったですね。まさしく共同開発でした。

牛嶋:お互いの企業文化が似たところがありました。プラスでも新しいこと、世界で初めてのことやれと言われています。エネックスさんもどんどん新しいことをやりたいという意欲を持たれていて、ぴったりでしたね。実際は当然うまくいかないときもあったし、僕らが遅れをとることもありましたけど、半年という短期間でいいものができたと自負しています。

実際市場に出てからの
お客さまの声はいかがでしたか。

牛嶋:開発でも苦労した部分の一つですが、香りが非常に華やかなんですね。合成ではなく天然精油の香りにこだわりました。天然精油を語るととても長くなるのでここではやめておきますが(笑)、品種にもこだわった結果、使っていただくとすぐに分かるとおり、普通のアルコール製剤と違ってふわっと陽だまりのようないい香りがします。コロナ禍で気分が落ち込んだ時や、オフィスに行きたくないなという日にもモチベーションアップにつながる香りだと好評です。中身だけでなく、ボトルのデザインも特にこだわりを持って開発をしたので、そばに置きたくなるような心地の良い色合いとデザインにしました。ユーザー様からは、さりげない心地良さでギフトに使いたいと好評です。

今後の展望や抱負をお聞かせください。

梅田:今回の共同開発では衛生用品の開発からスタートしましたが、ブランドの将来展開として化粧品ラインナップも図っていけたらと考えています。プロジェクトチームとして、現在ご依頼いただいている開発案件についても引き続き注力していきます。プラス様ならではの発想と当社開発チームのコラボレーションでユーザー様の生活に彩りをご提供していきたいです。

三浦:世の中のニーズを意識しながらの製品開発に触れ、オフィスに合った化粧品というのもおもしろいなと思いました。最終製品の製造開発では、当社のプリンター消耗品部門が製造設備の開発に携わったことでノウハウが活かされ、全社的に取り組めたことも新たな一面でした。今後は、コンビニやドラッグストアに並んでいるものではなく、オフィスに置くだけでも華やかなものを仕事中でも自由に使える製品を開発していきたいですね。

牛嶋:化粧品を含めた新事業については今後も重点を置いていきたいことです。エネックスさんの持つコア技術や化学的な知見とプラスのユニークさの相乗効果で、どんな化学反応が起きるのか期待しています。そのほかにも、個人的にはやはり文房具を一緒にやりたいですね。文具の市場は縮小傾向にありますが、新たな機能やとがった要素を盛り込めれば、新たなニーズが生まれるはずです。化学的な知見を加えることで、新たなものが生まれればとても面白いのではないでしょうか。

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